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特殊伐採

特殊伐採とは?

寺社や民家などに隣接した林では、建物へのダメージが危惧されるため木を切り倒したり枝を落とすことができません。
そうした人の生活領域にある樹木に関して、伐採・維持管理を行う技術が特殊伐採です。
日本では空師、海外ではアーボリスト(樹木士)とも呼ばれている仕事で、幹を上部から輪切りにし吊り降ろしたり、ロープでテンションを掛けることにより枝の落ちる向きをコントロールする技術が特徴です。今回は車両が入ることのできない斜面地での作業でしたので、幹の吊り降ろしも全て人力で行っていただきました。

今回作業を請け負ってくださった中野さん。長野県佐久市で林業として特殊伐採を行っています。

日本で古くから使われている胴縄登りと、ツリークライミングの技術を掛け合わせたロープワークで、どんな木にも軽々と登ってしまいます。
炭焼き職人として材木を採るために木登りを始めたという中野さんは、これまで自己流で伐採を進めるなかで、一つずつ技術や道具の使い方をマスターしてきました。
呼吸を落ち着けて目の前の作業に集中することが高所作業の秘訣と語る中野さんは、アシュタンガヨガのインストラクターでもあります。アシュタンガヨガはダイナミックな動きが特徴で、運動量が多いことでも有名です。
今年63歳という年齢からは想像もつかない身体パフォーマンスや、高所での平常心の保ち方も、毎日欠かさず行っているヨガが支えているのかもしれません。

特殊伐採で重要なこと

特殊伐採では重機の有無にかかわらずチームの連携が重要になります。
「クライマー」という高所で枝や幹を落とす役と、「グランドワーカー」という落ちた枝を片づけたり、必要な道具を準備する役の二人三脚で作業が進みます。
グランドワーカーはクライマーが万が一落下したときにケガをしないよう地面を整地したり、樹上で必要な道具をロープ伝いに渡したりと、まさにクライマーの手足となって作業をサポートします。
また今回のような人力伐採では、材木の吊降ろしや、ロープによる枝のコントロールもグランドワーカーの重要な仕事です。
今回のグランドワーカー役を担ったのがくぬぎまさみつさん。昨年の4月に長野に移住、中野さんに弟子入りし特殊伐採の補佐を行っています。

杉の枝打ち

実施していただいた主な作業は「杉の枝打ち」です。生長に伴い電線に架かってしまった杉の枝を落とし断線を防ぐのが大きな目標となります。また通風と採光をよくして樹勢を強めることにより、強風や病気などへの抵抗力を高めるという意図もあります。
枝打ちという作業は、養分を得る器官を除去する性質上、ともすれば樹木を弱らせる行為にもなりえます。それを防ぐためにも狙いを明確にし、樹木へのダメージを抑えることが特に重視されます。
今回は「胴吹き枝」と呼ばれる幹の途中から生える枝を多く伐採しました。冬季は木の生長がにぶるので大幅な刈り入れが可能となります。

オレンジ色のメインロープに縞模様のサブロープが結ばれています。これが特殊伐採で使われるロープワークのひとつ「プルージックノット」です。中野さんが左手で持っているロープの先はハーネスと呼ばれる落下防止具に繋がっています。こちらのロープにテンションが掛かった場合、メインとサブの間に摩擦が発生し互いのロープは動きません。一方で巻き付け部を持てば簡単にスライドすることができる、という特徴を持っています。
特殊伐採ではメインロープが木の幹に掛かる胴縄、サブロープが胴縄をクライマーに繋ぎ落下を防ぐ補助縄の役割を持っています。

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